もがみ地域理解プログラムジモト大学取材レポート vol.6

 学校では学べなかった卒業前に学んでおきたい ヒト・モノ・コト を、地域の大人と一緒に学ぶ講座「もがみ地域理解プログラムSHINJO・MOGAMI ジモト大学」の第6弾、「しんじょしラボ座談会」のレポートです。

 「しんじょしラボ」とは新庄で暮らす女性の、女性による、女性のための「新庄暮らし研究所」のことで、今年度4月に始動したプロジェクトです。新庄をはじめとする最上地域は、都市部への人口流出が深刻で、特に「若年女性」は地域外に出たまま戻ってこないことが、地域の人口減少に拍車をかけていると言われています。女性が最上地域で仕事をしたり活動したりするのに選択肢が少ないことも理由だったり、また買い物やレジャーなど生活しやすい環境、あるいは子育てしやすい環境を求めて都市部に出ていく人も多いのかもしれません。しかし「いずれは地元にもどりたい」「子育てするなら地元で・・・」という声も多くあることも事実なのです。「しんじょしラボ」では、新庄での結婚・出産・子育て・仕事との両立などをキーワードに「しんじょし」の“今”を調査しながら、そのニーズや課題解決のためにどうあるべきかなどを模索していく取り組みを展開しています。

 今回、「しんじょしラボ」×「高校生」の化学反応に密着しました。実りある意見交換・気付き・発見そして交流。ジモト大学の最後を飾るにふさわしいテーマとなりました。新庄・最上で輝きながら生活している女性がたくさんいることにも注目していきたいですね。

 しんじょしラボを率い、座談会のファシリテーターを務めるのは、新庄商工会議所勤務のほか最上地域女性応援会議という女性グループで代表を務めておられる佐藤亜希子さん。「私自身、高校生の頃は『新庄・最上から出てみたい』という気持ちが強く、進学先や就職先として地域外を考えていた一人でした。『私のやりたいことはここにはきっとない』と決めつけていたところも大きかったと思います。今思えば全然地域のことなんて知らなかったし、知ろうとしていなかったと思いますね。」という本音トークで、大人女子と高校生との座談会は和やかな雰囲気で進みました。

  参加した高校生にとって、結婚・出産・育児はまだまだ先のことかもしれませんが、進学や就職でこの地域を離れる時になって漠然とした不安を感じるより、今のうちから自分自身のライフプランを考えておくことで「大人への備え」になるのではないかと感じました。参加高校生23名のうち男子は7名、家庭の中での男性の家事負担について考える場面もあり、「育児・家事は他人事、男は仕事をしていれば良い」では、この先自分自身が大変な思いをするのだということを実感したようです。

 高校生の目から見ると、新庄・最上の良いところ(GOOD)と足りないところ(BAD)はこんなふうに感じているのだということが分かりました。

 広報しんじょうの裏表紙に4月から「しんじょし」の記事を書いているフリーライターの小嶋可那子さん。山形市出身で結婚を機に新庄に移住した小嶋さんは、3人の女の子2人の男の子の子育て経験談と、大家族で暮らす生活の実情についてお話し下さいました。「子育ての初期は全部自分がやらなきゃ・・・」という気負いがあったという小嶋さんは、子どもが増えるにつれ、また専業主婦から子育てと仕事を両立する日々に変化したことによって、家族の協力に支えられているという感謝の気持ちを持てるようになったと語ってくださいました。大家族の中でのびのびと子どもを育てられることや、おじいちゃんおばあちゃん世代の知恵や知識を自分も子どもたちも吸収できることは大家族だからこそのメリットだと教えてくださいました。仕事や活動にいきいきと取り組んでいる姿は、きっと子どもたちにとっても嬉しいことであり、「自慢のママ」として小嶋さんの背中を見て育つのではないかと感じました。

 「しんじょし」として高校生に様々な視点からアドバイスを下さった箱山さんも、大学進学で都会暮らしを経験したそうです。刺激があって楽しいこともたくさんあるけれど、「生活」や「暮らし」という観点では、自分には都会暮らしは向いていないと感じたと言います。そのため地元での就職を決め、結婚までは実家で生活してきたとのこと。その後旦那様との結婚を機に現在2人暮らしをしているそうで、「親や家族のありがたさを身に染みて感じています」というお話もしてくださいました。

 地元を離れた進学・就職を選択することで他地域での生活が待っています。仕事や学業と生活の両方を成り立たせていかなくてはならないことを、高校生の参加者も自分事として考えることができたのではないでしょうか?「慣れ親しんだ家族や友達と離れ新たな交友関係を築く」ことの大変さもちゃんと考えておかなければいけないということを。

 新庄市出身鮭川村在住のしんじょし、高嶋美恵さん。現在、高校生・中学生・小学生・保育園児と、4人の子育てに大忙しの日々を送っているとのこと。しかも、高校生の娘さんは山形の高校に通っているということもあり、朝早くお弁当やら新庄駅までの送迎やら大変なことも多いそうです。進学の際には、学校の近くに生活の拠点を移すのか、地元から通うのか、本人とも家族とも話し合って現在のスタイルに決めたそうです。3年間大変になるとわかっていても本人と家族にとって何がベストかをきちんと話し合うことの大切さを考えさせられました。

 新庄市出身舟形町在住のしんじょし、松原知子さんは、高校卒業後に進学で新庄を離れたそうです。その後就職するにあたり、地元での就職を希望したものの、選択の幅を広げるために首都圏も視野に入れた就職活動を進めていったと言います。結果何年か都会で働いた後、「どうしても地元に戻りたい!」という気持ちが強くなり、次の仕事も決まらないまま地元にUターンを決めたのだそうです。そうした経験を振り返りながら、高校・大学生活の際にその後の生活に対するビジョンを考えておくことの大切さや、「自分はどのような暮らしにむいているのか」を見極めておくことも必要だと語ってくださいました。また、現在、夫婦共働きの生活では「女性が食事の支度や掃除をやるのがあたりまえ」と思っていたが、仕事と家事とを両立させるにはちょうど良いバランスがあることを教えてくださいました。「夫も同じように仕事をしていて、私も忙しい時があるから、『特にどちらがやる』というふうに決めないで、やれる方がやれることをやるスタイルに落ち着きました。もちろん、気が付いてやってくれた時にはお互いに『ありがとう』の気持ちを忘れずにいることですね。」と、とても参考となるエピソードをお話頂きました。

 新庄市出身で、一度地元を離れ仕事をしていたもののUターンで戻ったというしんじょし、中鉢絵三さん。中鉢さんは、はぐくみ保育園で栄養士として働いているため、最近の子育て事情について詳しいことから、「若いパパママの育児に対する姿勢」や「子育てのトレンド」についてのお話もしてくださいました。「お母さんが送り迎えをすることが昔は多かったが、お父さんの送り迎えも増えているし、お遊戯会などの行事には両親が一緒のほかおじいちゃんおばあちゃんも参加するという家庭がほとんどです。それだけ、新庄・最上は、親だけで子どもを育てているというより、地域ぐるみで子どもを育てていけるという環境と地域性があるのかもしれません。でも、園で預かっている子どもさんが『熱が出た』『具合が悪い』という連絡をした際に、実際にお迎えに来るのはお母さんがほとんどです。それだけ、女性が子育てにおいて男性よりも負担が大きいのは仕方のないことなのかもしれませんね。」と、育児に関するとても考えさせられる内容となりました。

 新庄市立図書館館長でジモト大学事務局の一般社団法人とらいあ理事のしんじょし、高橋一枝さんは、「都会で暮らすことに憧もあったんだけど、旦那さんと出会ってしまったから、今新庄にいます。そして新庄生活はベテランの域に達しています(笑)」と自分自身の気持ちと人生の選択を客観的にユーモアを交えてお話し下さいました。これまでの子育て経験や新庄暮らしに関するエピソードもさることながら、「高校生には『何のために進学するのか』とか『自分はどこでどういう生き方をしたいのか』ということと向き合ってほしいと思います。『これが答えだ』というものはきっとありません。ジモト大学が掲げる『地元のことを良く知ろう』『もっと積極的に語ろう』『ともに本気で学ぼう』という3つのルールがあります。自分だけじゃなく周囲の大人と話をして、ちゃんと納得した上での自分自身の考えを持つことが大事だと思います。そのためには自分の生まれ育った地域を知ることも大事です。」とアドバイスを頂きました。

 

 グループに分かれてワークに入る頃には、高校生の表情も真剣そのもの。なんとなくしか考えていなかった将来の「仕事」「結婚」「出産」「育児」「家事」に対して興味津々、自分自身の理想と先輩女子のリアルトークに、疑問や考えがいっぱいわいたようですね。

 

 

 

 

 話題のテーマは「家庭での家事の役割分担」です。核家族・三世代同居家庭、一人親家庭の違いもあるでしょう。また、職種によっても休みを取りやすい、取りにくいがあることも事実です。「女性はこうあるべき・・・」「男性はこうあらねばならない」の固定概念は、周囲から押し付けられているまたは自分が勝手に思い込んでいるイメージにすぎないのかもしれません。必ずしも自分のベストに当てはまるとは限らないということを、色々な人と話をし意見を交わすことで見えてきたリアルだったのではないでしょうか?

 

 

 

家での仕事をチェックしてみると、洗濯・弁当作りなどは圧倒的に女性が行う割合が多い家事のようです。各班ともに、お父さんにその家事を行ってもらうためにかけるべき言葉を考えていきました。強制するのではなく、お互いに気持ち良く物事を決めていけるような関係を保つには、伝え方も重要だということを学びました。ドラマ仕立てのワークショップで会場は盛り上がりました。

 会場となったコミュニティ・コワーキングスペースGOSALOn(ゴサロ)は、街の中で同志が集まり、情報収集ができ、作業ができ、時にはほっと一息つくことのできる居場所です。高校生が気軽に立ち寄れる場所が少なくなってしまっている新庄・最上ですが、まだまだ知られていないだけで、本当は自分たちの身近なところにあるのかもしれません。そして、これを機会に、大人との対話の場所としてこのGOSALOnにまた足を運んでくれるといいなと思いました。高校生も「地域を知り、地域の大人と共に考える」ことが必要です。そして、若い世代が自分たちの手で地域を作っていく、そんな時代が来ていると感じます。

 今年度からはじまった「もがみ地域理解プログラム ジモト大学」も、13の日程すべてが終了しました。まだまだ取り組みは始まったばかり。これからのプログラムづくりに地域の大人たちも話し合い、知恵を出し合い、本気で頑張っています!「どうかこの想いが若い世代に、次の、そのまた次の世代に繋がっていきますように。」との願いを込めて、また我々大人の目標の一つにしたいと感じました。来年のジモト大学もお楽しみに~♪

 

 もがにてぃフェイスブックページでも当日の写真を公開していますので、どうぞご覧ください。

11月12日(日)新庄市編「しんじょしラボ座談会」

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