梅津奈々子さん

 埼玉県出身の奈々子さんは学生時代に知り合った旦那様とのご結婚をきっかけに、平成27年12月に舟形町に移住して来られました。これまでの生活とは全く異なる風土・文化・環境の中で、日々「自分にできることをしよう!」という前向きな気持ちで目の前のことに取り組んでおられます。

 結婚を機に新天地へ移住するという方も多いと思いますが、嫁いだ土地でどんなふうに暮らし、働いているかを参考にしてみてはいかがでしょうか?

 

舟形町での生活はいかがですか?

 本当に自然豊かで環境の良いところですね。こちらの方はそれが当たり前になっているので気がつかないのかもしれませんが、都会では感じることのできない風や季節の移り変わり、自然の恵みを感じます。どんな場合にも「何にも無い!」っておっしゃる方がいますが、そんなことは全くなく、「山がある、川がある、山菜がとれる、川魚がとれる、美味しい野菜もとれる」という、とても贅沢な環境だと思いますね。

 それと、人柄が温かいです。東北の方=シャイで口数が少ないというイメージがあるかもしれませんが、私の周囲には世話を焼いてくれる方が結構いまして、わからないことを教えてくれたり、声をかけてくださったり、人と人との結びつきがありがたいなぁと感じます。都会だと、満員電車に揺られ、例えば隣の人と肩がぶつかっても軽く会釈をするだけかもしれないですので、そういう意味では、人がたくさんいるのに、自分を助けてくれる人はどれだけいるんだろうって考えると、寂しさや孤独を感じる人も多いんじゃないかと思います。こちらでは仲間同士の結びつきや親戚づきあいがとても温かいです。

 

舟形に来て驚いたことは?

 舟形町内は地区ごとに同じ苗字の方が多いというのに驚きました。例えば長沢地区だと伊藤さんが多いのだとか。電話で要件をお聞きする時、「長沢の伊藤さんからお電話がありました。」と伝えても、「長沢は伊藤ばっかりだ、伊藤誰?」と言われたり(笑)。特定するためにはフルネームでお聞きするか、屋号をおっしゃる方もいらっしゃいますのでそれを覚えなくてはならないんだということにびっくりしましたね。聞くと最上郡内には地域単位で『ある特定の名字が多い』という現象は良くあることなんだそうですね。

 それから、シーズンになると様々な種類の山菜やキノコを山から採ってきて、どれが食べられるものでどれは駄目なのかを見分けられる目を持っているんですね。舟形に来るまではワラビやゼンマイぐらいしか知らなかったんですが、美味しい山の幸をお裾分けしてくださり、時には「こんなにたくさん?」という量の時もあります。朝早く出かけたり大変な思いをして採ってきたものを、惜しげもなく近所や親戚の方々に分け与える人が多いことも大変な驚きでした。

 

大変なことはありますか?

 一番は方言ですね。イントネーションや言い回しが少し違うという程度はだいぶ慣れましたが、「ねまる、なげる、うるかす」などはまったく何を意味するのか分かりませんでした。あとは、話すスピードが速いので、最初は何を言っているのかわからず大変でした。

 それと、何と言ってもお寺に嫁ぐとは思っていなかったので、色々と覚えなくてはいけないことも多く、「務まるかなぁ」と不安に思うこともあります。でも、今の私が「お寺の嫁として上手く立ち回れる」がいきなりできるかというと難しいので、私らしく自分のペースで、ゆっくりでもいいから一つひとつにちゃんと向き合っていくこと、その方がずっと大事なんじゃないかと思うようになりました。

 

現在のお仕事は?

 猿羽根山地蔵堂にご参拝下さる方々のお出迎えと応対を、それとさばね山そばで接客をしております。私の夫は猿羽根山地蔵堂の堂守と定泉寺の副住職をしており、地蔵堂の休憩所を自ら改装して数年前からお蕎麦屋さんを始めたんです。参拝者がゆっくりしていってくださるようにということだったらしいのですが。本音を言えば、私はマニュアル的なことが苦手なので接客には不安があったんですよ。でもお地蔵様が本来どういうものなのか、地蔵堂がどうしてできたか、お参りの仕方などを説明しながらお客様と向き合えば、ここに来てくださった方々にも喜んでいただけますし、本当にやりがいのある仕事だと思っています。丁寧にしっかりとおもてなしすることで、ご縁が繋がるということを身を持って経験させていただいています。都会で働いていた時とは違う充実感ですね。

 それと、こちらに来るまではグラフィックデザイナーをしておりまして、パッケージデザインを主に担当しておりましたので、こちらに来てから地蔵堂のパンフレットやWEBサイトを新しくしたり、まずは自分ができることからはじめました。

 

プライベートで何かやっていることは?

 休日と言っても、基本的にお寺は年中無休なんです(笑)。ですので、オンとオフがはっきり決まっている生活とは違い、日常の中で何かを少しずつ楽しむように心がけています。例えば、舟形は読み聞かせの活動が盛んな町で、現職の町長も読み聞かせ活動に参加しているほどなんですが、小学校・中学校で授業が始まる前の朝の時間に読み聞かせがあるので、私もまだ人前で読んだのは数回なのですが、こうした活動に参加しています。メンバーには他地域から嫁いだ方々が多く、お子さんの成長に伴って自宅で絵本を読み聞かせていたのが、保育園の先生やPTAの仲間に誘われ活動に加わったという方がたくさんいます。舟形町にお嫁に来た大先輩方なので「私はこうだったよ」とか「こうするといいよ!」と教えてくださり、色々助けられています。また、最上の女性が活躍できる社会づくりを目指して活動しているグループ“モガジョ”にも縁あって入りました。既婚未婚に関わらず同世代の仲間が増えると楽しみなことも増えるような気がします。

(奈々子さんが参加している活動の情報は「もがにてぃ!」欄に掲載しています。※舟形町読み聞かせボランティア連絡協議会の記事は10月掲載予定、最上地域女性応援会議(モガジョ)の記事はコチラからご覧いただけます。)

 

今後の夢はありますか?

 今ここにあるたくさんの資源・宝を守っていきたいですね。例えば、地蔵堂にある千羽鶴は参拝者が寄贈くださったもののようなんですが、節目ごとのお参りの風習やそこにある背景をしっかりと次に繋げていきたいです。私自身もそうですが、形式だけでなく、そこに込められた想いや先人たちの教え、言い伝えなどを知ることによって、見えてくるものがまったく違ってきますから。特に若い世代や子どもたちには、昔から受け継がれてきたものの意味や背景が伝えられるような機会を増やしていけたらいいなと思いますね。そのために自分がこの地で何ができるか、どうやればいいのか、それを少しずつ模索しているところです。

 梅津さんはそれまでの生活とは全く違う環境の中で自分にできることを探そうと積極的に地域の行事や活動に参加されているようです。お話をお聞きしていると、芯の通った性格と人柄の良さがひしひしと伝わってきました。取材でお邪魔した猿羽根山地蔵堂とさばね山そばから眺める景色は、四季折々の草花や木々の緑、秋には紅葉が楽しめます。残念ながら冬期間は閉鎖されますが、ぜひ一度足を運んでみてください。梅津さん夫妻の心からのおもてなしが身に染みる絶品体験となること間違いなしです!

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